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2007年12月21日 (金)

Farnsworth教授契約法の試験終了

Q:なぜ、ブログの題名がこんなにベタベタなんですか?
  (ボストン、ロースクール、そしてLLM)
A:検索エンジンに引っかかりやすくするためです。

さて、やっと契約法(Farnsworth教授)の試験が終わりました。これで秋学期の試験は全て終了ヾ(=^▽^=)ノ。ふて寝して忘却する前に、とりあえず試験内容の記録だけはしてしまおう、と思います。

試験時間は4時間で、論述式。同一前提事実から10題出題。Equally weightedとのことゆえ、1題あたり10点でしょうか。
独特なのは、1題あたり250ワードを超えてはならない、とのword limit。そのココロは、学生に論点を絞って答案を書いて欲しいためだとか。先生、論点も整理されていない長いだけの答案を読みたくないだけ、じゃないですか?ただ、私に関してはその心配は1000%不要です。250ワードも書けませんから!

以下がその問題です(一部、趣味で無意味に修正した点あり)。
私の回答骨子は、( )で記しておきます。
〔後日補記〕そして更にその下に、先生解説を記しておきます。

【問題】
Herman氏は、2百万ドルを投じ、Foodistan国の料理を提供するレストランを開業した。名前を「Harman's」という。Harman氏は、Foodistan料理のシェフとして名高いFrank氏を、メインシェフとして雇用した。
その雇用契約の概要は以下である。
1)週給5千ドル。
2)有給休暇は3週間/年。
3)契約期間は開業から3年。
4)Harman氏は随時理由無く契約解除可だが、解約金5万ドル要。
5)完全合意条項あり。
開店のとき、Harman氏とFrank氏は厨房でたばこを吸って、喜びに浸りまくっていた。Harman氏は、「もし、3年後、二人でここにこうして立っていられたのなら(standing here)、ボーナス10万ドルを君に払うつもりだ」と言って、Frank氏をあつーく抱きしめた。
この会話を、何人かの従業員が聞いていた。

[問1] 1年後、Harman氏は、クビをちらつかせながら、Frank氏に給与減額を迫った。結果、週給5千ドルから4千ドルに減らすことで書面合意した。3年後、Frank氏は、「信長の野望・パワーアップキット~風林火山との闘い~(仮)」を購入したいと思うようになり、両者の差分1千ドルに、2年間を乗じた額を請求したいと思うようになった。この減額修正はenforceableか。論じなさい。

回答骨子:強迫(Duress)ゆえ、取消可である可能性が高い。Alaska判例参照。不当威圧(Undue Influence)および非良心性(Unconcionability)の可能性はあるが、強迫である可能性の方が高いと思われるため、ここでは論じない。以上より、この減額修正はnot enforceable。なお、本件で差分請求となると、期待利益の補償と同値となる。だが、強迫での取消の場合、restitution(原状回復)での処理が原則ゆえ、差分満額は回収不可と考えられる)

先生解説:ここでのポイントは2つ。①契約の減額修正にconsideration(約因)があるか。②その修正がduress(強迫)によってもたらされたのかどうか。注目すべき前提は、Herman氏が、雇用契約上、解約権を有しているという点である。
①について:Herman氏がこの解約権を行使しないことに同意した時、それはFrank氏にとって有利となるHerman氏のforbearanceだから、considerationが交換されたと言える。
②について:解約権の行使は、duressを構成しない。単にHerman氏は契約上のオプションを行使しただけである。
よって契約の修正はenforceable。Frank氏はおそらく負ける。
なお、もしHerman氏が、クビにするし解約金5万ドルも払う気はない、とFrank氏に言ったのならば事例として面白くなるが、この問題の記述ではそこまでは読み取れない)

[問2] 米国が、Foodistan国に宣戦布告した。Foodistan国を、テロ支援国家と認定したためである(アフガニスタンのもじりだったんですね、先生)。そのため、Foodistan料理の人気はガタ落ち、Harman'sの利益もガタ落ちで、店じまいを余儀なくされた。他従業員と一緒にFrank氏も解雇されたが、解約金5万ドルは払われなかった。Frank氏の不払いは正当か。論じなさい。

回答骨子:Impracticability(実行困難性)の問題、として論じること可。Foodistan料理を提供するというレストランの精神を鑑みると、米国とFoodistan国間の恒久的平和が、同雇用契約の基本的前提となっていたと解される。同契約には、当該リスクを分担する特段の取り決めも無く、また両者に過失も認められない。どちらがLeast Cost Avoiderかを論ずる実益も無い。よって、Harman氏は5万ドルの支払いから免責される、と言いえる)

先生解説:ここでのポイントは、impracticability(実行困難性)あるいはfrustration(契約目的の達成不能)を理由として、Herman氏の契約上の義務(ここでは、解約金支払債務)がexcuseされるか否か、ということである。
これは、レストランの失敗リスク(特に、Foodnistan間との戦争による場合)が、雇用契約において当事者に分配されていると言えるか否か、に拠る。もし分配されていないのなら、Herman氏の契約上の義務はdischarge(免除)される。
しかし、この雇用契約では、そのリスクが然るべく分配されていると言える。契約文言上、「Herman氏は、for any reasonで(理由の如何を問わず)Frank氏を解約できる」とあるが、これは同時に、「Frank氏は、解雇されたのならばfor any reasonで解約金5万ドルを受け取る権利がある」ということを意味するからである。
policyの原理原則に立ち返ってみても、料理人のスキルとは関係ない原因での事業リスクの見極めは、料理人であるFrank氏よりも、経営者であるHerman氏の方が、よりbetter positionにいたと言えよう(よって、Herman氏は5万ドルの支払いから免責されない))

[問3] 1年後、幸運にもHarmar'sは好調。「有給休暇を4週間にしてくれれば、もっとボクはクリエイティブになるぜ。そしたらもっと売上もアップだぜ。頼むぜマイダーリン」とねだるFrank氏の願いを、Harmar氏は聞き入れた。が、後で採算計算をして、やべっ、損じゃん!と思い、これを認めなかった。Harmar氏は契約違反をしたことになるか。この4週間の約束はenforceableか。

回答骨子:この点、私は詐欺防止法の問題として主に論じてしまいましたが(口頭合意であったため。爆)、この問題は、有給休暇増に約因があるか、という切り口で主に論ずべきであったと思われます。同期S氏に、鋭い視線で鋭くご指摘を頂きました。勉強になり深謝ですm(_ _)m。風邪気味との由、どうかお大事に)

[問4] 2年半後、Harman氏が福井に旅立つ前、Frank氏より、「もう3年間の契約延長について考えてほしい。その時は、10%の昇給は欲しい」と申し出があり、Harman氏は「考えておく」と留保した。福井に着いた時、Harman氏はこれに了解した旨のレターを送付。しかし、当該レター送付後、ザガットサーベイがHarman'sとFrank氏の料理を酷評した結果、売上が激減したとの知らせあり。Harman氏はすぐにHarman'sに電話をかけ、電話を受けた受付係にFrank氏を呼んでもらった。「了解のレターは書いたけど、こうなってしまうととても延長はできない」と伝えると、Frank氏は悲しそうに「分かった」と同意した。その後、Harman氏の了解レターが到着。Frank氏は豹変し、この了解レターを基にHarman氏を訴えた。認められるか。

回答骨子:上記事実を考えると、Harman氏がフロリダに旅立つ前にFrank氏が言ったことはOfferであり、Harman氏の手紙がAcceptance。Acceptanceは発信主義ゆえ(Mailbox Rule)、レター投函時に有効に成立。しかし、Harman氏とFrank氏は、有効に成立した当該Acceptanceの存在を前提として、更にそれをキャンセルする同意をしているため、ここにMeeting of the Mindsが明確に形成。よって、それに反する訴えは認められない。後は立証の問題となるが、取り次いだ受付係が然るべく証言してくれるはず)

[問5] 1年後、Frank氏がHarman'sを辞め、競合レストランChez Frankに移った。結果、Harman'sの売上は暫減しており、このままでは後1年持たないと予想される。代わりのシェフを入れたが、Frank氏ほどの腕は無いことは周知である。なお、Frank氏は、新しい職場がお気に入りで、戻る気持ちは全くない。Frank氏は、裁判所に特定履行による救済を求め、Frank氏が競合で働くことを止めさせるか、Frank氏に職場に戻ってもらうようにしたいと思っている。どうか。

回答骨子:もし、合理的な競業避止条項が契約内に盛り込まれているならば、Frank氏の競業行為は金銭賠償にそぐわず、差止が認められよう。ただ本契約では競業避止条項は無いため、その主張は不可。また、職場復帰を強制できるか否かについては・・・以降略)

[問6] では、特定履行の救済の代わりに、2百万米ドルの賠償を求めたらどうか。認められない場合、如何なる賠償が認められるか。

回答骨子:2百万ドルはレストランの設立費用であり、契約の枠外の話。その賠償をFrank氏に求める合理的な法理は存在しない。よって認められない。なお、仮にFrank氏に契約違反があるとするならば、Harman氏には履行利益の賠償が認められよう。その算定は・・・以下略)

[問7] 2年11ヵ月後、Harman氏はFrank氏をクビにした。お金は一切払われていない。さて、そもそも、ボーナス10万ドルの支払いはbindingなのか。論じなさい。

回答骨子:ボーナス10万ドルの口頭合意時が雇用契約締結前か略同時であったと仮定し、Parol Evidence RuleとEntire Clauseを中心に議論。雇用契約に盛り込むべき同意であった、との論調で、雇用契約が優先し、同口頭合意は仮に従業員の証言があってもnon-binding、と結論)

[問8] 問7と同事実。ボーナス10万ドルがbindingであったと仮定する。Frank氏は10万ドルを貰えるか。

回答骨子:3年働くことが、ボーナス10万ドル支払の「条件」であったか否かが問題。「条件」ならば、Frank氏は3年働いていないため、10万ドルは受け取れない。当該会話の内容(特にIFとstanding THERE)から、3年働くことがボーナスのexpress conditionと解される。しかし、仮にこれがexpress conditionと解されずとも、裁判所はこれをconstructual conditionと認めるであろう。よって貰えない)

[問9] 問7と同事実。2年11ヵ月後、Harman氏はFrank氏をクビにした。Frank氏には遅刻癖があり、頻繁に警告しても直らなかった。挙句、Harman氏は他のコックをアシスタントとして雇用することを余儀なくされた。解約金5万ドルを払う必要はあるか。

回答骨子:相手方に不履行があった場合、それが重大な違反であれば、自らの履行を停止し、不履行の治癒がなければ契約を解消可(Walker判決参考)。「何が重大な違反か」は、裁判所の判断に委ねられるが、契約法リステイトメント241条が一定の指針。本件事実および契約内容を考えると、Frank氏の遅刻常習は「重大な違反」と言える。よってHarman氏は、契約の条文に拠らずに契約解約可。5万ドルの払いは不要)

[問10] 問7と同事実。2年11ヵ月後、Harman氏はFrank氏をクビにした。Herman氏は、解約金5万ドルは損害賠償の予約(Liquidated Damage)と捉え、額が合理的でなく、また当該条項が両者の誠実な損害額の算定を反映したものでもないから、拘束力はなく、払う必要なし、と考えている。そうか。

回答骨子:解約金5万ドルを、ペナルティでなく損害賠償の予約と解するのは合理。損害賠償の予約が認められる要件は、Harman氏説明の通り、当該額が、1)合理的で、かつ2)想定される損害に対して誠実な算定がなされた結果であること、である。さて、Frank氏の週給が5千ドルであるため、この5万ドルという額は、10週分の給料に相当する。この解約金の本旨を、新たな就職先が見つかるまでの生活保障にあると考えれば、10週は不合理とは言えず、上記1)2)を充足する。よって拘束力があり、払う必要がある)

疲れた・・・(;^_^A
だったら書くなというツッコミは百も承知していますがヾ(^o^;)
なぜか「記録に残さねば」との使命感にかられまくっています。
試験も終わり、これからぐっすり眠れそうですヾ(〃^∇^)ノ。

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