« Commercial Codeの試験終了 | トップページ | 親子の結託による卒業偽装疑惑 »

2008年5月 7日 (水)

Antitrustの試験終了

Antitrustの試験が終了しました。最も危惧された試験ですが、単位は何とかもらえたのではないかと思います(一応答案書いたし)。評価は・・・ミラー先生のあのCommercial Codeの7割くらいの手ごたえしかなかったので、それで推して知るべしかな、と思いますε=(・ρ・*)

試験時間は3時間(LLMは+1時間)。マルティプル10問エッセイ2問オープンブック(何でもかんでも持ち込み可)。だいたいこんな問題でした。

まずマルティプルですが、経済学(の初歩?)および独禁法から、基礎知識を問う形で10題出題。覚えている限りですが、

第一問:Elasticity of Demand(需要の弾力性)とは何か。選べ。
第二問:Cross Elasticity of Demand(需要の交差弾力性)とは何か。選べ。

いきなり経済学です。持参した「マンキュー経済学」(4000円)が役立ちました。しかし経済学の質問はこれだけ。マルティプル1点を、2000円+送料で買った計算になります。高いのか安いのか・・・(;^_^A。残りの8問は独禁法がらみで、「Antitrust Injury(反トラスト法上の損害)の立証要件は?」「Technological Tyingはどのような場合に独禁法違反となるか?」などが出題されていました。

エッセイですが、まず第一問目。

〔事実〕
NEP社という電力会社があり、W市に電力を供給している。W市がNEPに対して、他社からも電力を購入したいので送電線を使わせてほしいと要請した所、NEP社はこれを拒否。理由は、①当該送電線は基幹線であり、既に送電キャパが一杯一杯であること、②送電線のメンテ料を十分に払ってくれない恐れがある、というもの。(送電線以外の)他の送電手段は、コスト的に現実的でない。また、NEP社は、その基幹線を使って他都市にも電力を供給している。

〔問1〕
競合PP社が、シャーマン法2条違反でNEP社を訴えた。①原告の主張およびそれを支える判例ルール、②被告の反論およびそれを支える判例ルール、③裁判所のあるべき判断、について論じなさい。

〔問2〕
競合PP社は、訴状の中で、Tying(抱き合わせ)を主張している。①原告の主張およびそれを支える判例ルール、②被告の反論およびそれを支える判例ルール、③裁判所のあるべき判断、について論じなさい。

〔問3〕
問1の③と問2の③で、結論が異なる、ということはpossibleなのか。もし異なるとしたら、独禁法の基礎理念と矛盾しないか。裁判所がその異なる結論を調整するとして、根拠となる考え方はどのようなものか。

ボーッとさせられながら、それっぽいことを、とりあえず書いたような気がします。この事実関係だけを見ていると、ADSLサービスの実施に当たり、ソフトバンクがNTTに対して(安価で)電話線かせ、と圧力をかけたことが思い出されました。

問2ですが、Tying(抱き合わせ)を主張する際は、Tying Products(抱き合わせる製品)とTied Products(抱き合わせられる製品)を観念する必要があります。というわけで、問2①(原告の主張は?)では、Tying Productsは送電線レンタル、Tied Productsは電力、と区分けして、原告(PP社)の主張を組み立てました。で、②(被告の反論は?)はもうよく分かんなくなったので、被告(NEP社)の反論はその裏返しにしました。消費者から見れば、送電線使用料と電力使用料を分けて払っているわけでも、分けて払いたいわけでもないため、両Productsは事実上一体で不可分であり、tyingの主張など成り立たないというものです。苦し紛れ割にまあまあの主張かも・・・

これだけで既にお腹は一杯になったのですが、エッセイもう一問あります。問1と問2の間に関連性は無いので、事実上、エッセイがもう2題、と言えます。

〔問1〕
McDrugsという、ビタミン剤でメジャーな卸売商がいる。値下げ販売をする小売商には卸さないことがある、というポリシーを持っている。小売商A社は、25%の値下げをして販売していた。結果、McDrugs社はA社との(供給)契約を打ち切った。小売商A社が起用した弁護士は、McDrugs社がA社との契約を打ち切ったのは、ビタミン剤を売っている指圧師たちからの圧力を受けてのものだ、と、A社従業員から小耳に挟んだ。さて、A社として、どのようなシャーマン法上の主張が為しえるか。この弁護士に、どのような準備を為すべし、とアドバイスできるか。論じなさい。

〔問2〕
Trans-Missouri判例少数意見が、多数意見であったと仮定したら、現在の独禁法理論は、どのようになっているだろうか。Price-fixingは、どのように論じられるだろうか。また、現在の独禁法理論と変わっているとして、それは我々にとってより見合うものとなっているだろうか。論じなさい。

問2には唖然とさせられました。こんなのありなんですかw(゚o゚)w 。
ただ、この試験が、オープンブックだったのが救いでした。持ち込んだ先生の本に、"The Court decided the central issue, whether the Sharman Act should employ the same decision standard as the common law courts, by one bote"と書いてあるのを偶然見つけたため、それをうんと膨らませて、こんな風に書きました。

Trans-Missouri判決の多数意見によって、Common LawでのRule of Reason(合理の原則)と、独禁法でのRule of Reason(合理の原則)は異なる(異なるべき)、ということが明確となった。
価格カルテルの判断基準として用いられている「Per-Se(当然違法)の原則」は、Common LawでのRule of Reasonと、独禁法でのRule of Reasonは異なるものである、と言うことを大前提として、独禁法のRule of Reasonの中から派生した法理である。
もし、Trans-Missouri判決の少数意見が多数意見となったとしたら、両者は同じであるべし、ということになる。Common LawでのRule of Reasonは、全ての益と損を考えて合理的に決める、というfull-brownな(=完全な)比較衡量論であるから、その中からPer-Seの原則が生まれる余地は(理論的に)無いはずである。
よって、Socony判決は、Per-Se(当然違法)の原則を打ち立てることはできなかっただろう。Socony判決の裁判官は、この制限は合理的だった、という被告側の主張に耳を傾けることになっていただろう。
今日的な影響であるが、価格カルテルでのPer-Seの原則が崩れ、Rule of Reasonで判断することになるから、Per-Seで門前払いが出来ず合理的かどうかいちいち調べないといけないので、訴追当局であるFTC(連邦取引委員会)の負担は重くなるだろう。
それに加え、Per-Seが持っている一般予防効果・・・つまり、社内で「Per-Seだから、カルテルはするな」と法務部門が営業にアナウンスし、結果としてカルテルが抑えられているということ・・・もなくなると思われる。
そのため、製品の価格は高止まりし、消費者は損を蒙ると思われる。我々にとって、見合うものとなっていたとは言えない、と考える。

試験後、Antitrustを受けていた同級生で昼食に行く途中、ジョンに出会いました。「独禁法難しかった」「単位ちょうだい」あけすけに直訴する我々に対し、ジョンは「うーん、今日いい天気だねぇ。このあたりを除いて」と余裕なコメント。さすがは経験豊富な我らのダイレクター。直訴慣れしています。確かにいい天気でしたけど。

ちなみに、昼食からロースクールに戻る途中、試験を作った張本人(ヒルトン先生)がケータイで電話をかけているところを見かけました。お電話中でもあり、また、とても直訴する勇気など無いため、念波だけひっそりと送らせて頂きました。

次は中1日でIntellectual Propertyです。

« Commercial Codeの試験終了 | トップページ | 親子の結託による卒業偽装疑惑 »

ロースクール生活」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/140450/20813834

この記事へのトラックバック一覧です: Antitrustの試験終了:

« Commercial Codeの試験終了 | トップページ | 親子の結託による卒業偽装疑惑 »

2015年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック